「とんかつ用のお肉」と「ステーキ用のお肉」って何が違うの?
結論からいうと、同じです。
違いはありません。
だだ、豚かつに適した部分と豚ステーキに適した部分は少し違います。
この記事では、
・肩ロースの特徴と選び方
・肩ロースとんかつに適した部分の選び方
・肩ロースステーキに適した部分の選び方
・やわらかくなる肩ロースとんかつ・ステーキの「筋切り」の仕方
・肩ロースとんかつの冷凍保存・解凍方法
をお肉のプロがご紹介します。
では、はじめます!
目次
肩ロースはとんかつに適している?
肩ロースは、とんかつに使う部位として、とても人気がある部位。
人気の理由は、
・リブ側は脂分が適度にありジューシーな旨味がある
・リブ側は筋が少なく厚切りにしてもやわらかい
などが理由。
とんかつ部位として人気のロース肉は、どんな特徴のお肉なのか?
選び方もあわせてご紹介します。
肩ロースの特徴
肩ロースは、豚肉の首から背中部分のお肉。
脂身と赤身のバランスがとてもいい部位です。
肩ロースは、1本の部位の中でも、柔らかい部分(ロース側)と硬めの部分(ネック側)があるので、とんかつにする場合は、部分選びが重要になってきます。
肩ロースとんかつに適した部分の選び方
わたしがおすすめするとんかつに適した部分は、
ロース側のやわらかい部分です。
断面は、
〇で囲んだ部分は、牛肉でいう希少部位「ザブトン」がある部分。
ザブトンを含む部分は特におすすめです。
ザブトン部分は、味も濃厚で旨味たっぷりの部分なので、「とんかつ」にはとても最適です。
しかし、とんかつに選んではいけない部分があります。
それがネック側。
肉質も硬く、とんかつなどの厚切りで使う料理には不向きなので選ばないようにしてください。
断面は、こんな感じのお肉です。
筋も粗く、赤身の割合が多い部分なのでとんかつ向きではありません。
とんかつ用の肩ロースを購入する時には、上の画像を参考に選んでくださいね。
肩ロースステーキに適した部分の選び方
基本的には、とんかつの選び方と同じでいいです。
わたしがおすすめするとんかつに適した部分は、
ロース側のやわらかい部分です。
牛肉でいう希少部位「ザブトン」がある部分。
〇で囲んだ部分が含まれている部分がおすすめです。
しかし、ステーキ用に選んではいけない部分があります。
これも、とんかつ選びと同じで、ネック側。
肉質も硬く、とんかつも勿論ですが、ステーキなどの厚切りで使う料理には不向きなので選ばないようにしてください。
こんな感じのお肉です。
筋も粗く、赤身の割合が多い部分なのでとんかつ向きではありません。
ステーキ用の肩ロースを購入する時には、上の画像を参考に選んでくださいね。
ロースは、やわらかい人気の部位ですが、下処理をすることで、もっと柔らかくなります。
柔らかくなる下処理とは、「筋切り」です。
この筋切りは、「とんかつ」や「ステーキ」の下処理の時には必ずやっておきましょう。
やるのと、やらないとでは、出来上がりにかなり差がでます。
柔らかくなる肩ロースの「筋切り」とは?
柔らかいとんかつに仕上げるためには、揚げる前の下処理「筋切り」が重要です。
なぜ筋切りは必要なの?
柔らかくするための、「筋切り」をしておくだけで仕上った時の「見栄え」と「食感」などが変わってきますので、面倒ですがやっておくことをおすすめします。
筋切りするメリット
お肉は加熱すると、反り返ります。
反り返りの原因は、お肉を加熱することで、タンパク質が変性して、縮んでしまうためです。
反り返ると、熱が均等に入りませし、見栄えもよくありませんよね。
それを解消するのが、「筋切り」。
筋切りすることで、
・反り返りが小さくなる
・熱が均一に入りやすくなる
・見栄えがよくなる
などの効果があります。
お肉を加熱した時に、反り返ってしまうのは、収縮率に差があるためです。
しかし、調理前に、赤身と脂身の境目を「筋切り」をすることで、反り返りを小さくすることができます。
この時に注意することは、
・包丁の刃先をつかい、切り込みが必要以上に長く入らないようすること
・筋切りをすると、筋切りをした部分のお肉が伸びてしまうので、最後に形を整えること
に気をつけましょう。
では、肩ロースの筋切りは、どうやるのか?
をご紹介します。
肩ロースの筋切のやり方
これは、「リブ側」。
お肉の収縮率は、赤身と脂身でちがいます。
お肉を加熱した時に、反り返らないように、脂身と赤身の間に、画像のしるし部分を筋切りしてください。
この筋切りをすることで、
・反り返りが小さくなる
・熱が均一に入りやすくなる
・見栄えがよくなる
などの効果があるります。
面倒ですが、このひと手間で「おいしく」「見栄えのいい」とんかつになります。
肩ロースをさらに柔らかくするには
肩ロース肉とんかつ用とロース肉ステーキの違いをお肉のプロがご紹介します。とんかつ・ステーキに適した部分の選び方、とんかつ用ステーキ用の「筋切り」の仕方も合わせてご紹介します。参考にしてください。ロースとんかつを、より柔らかくするためには、もうひと手間必要です。
赤身と脂身の部分は、筋切りで柔らかくなります。
しかし、その他の部分もやわらかい方がおいしいですよね!?
やり方は、包丁の先端部分を使います。
とんかつのお肉の面に対して、斜め45度くらいの角度でブスブスと何か所か刺してください。
斜めに刺すことで、ロースの繊維が短く切れ、柔らかくなります。
一度、お試しください。
なぜ、繊維を短く切るとやわらかくなるのか?
こちらの記事で紹介しています。
とんかつは、「筋切り」をしたり、衣をつけたりと、作る手間のかかる料理ですよね。
それなら、多めに作って冷凍保存すると便利です。
とんかつの冷凍保存方法
とんかつの冷凍保存は、2通りあります。
1つ目は、とんかつに衣をつけて、「揚げる前に冷凍」する方法。
2つ目は、「揚げてから冷凍」する方法です。
とんかつ冷凍「揚げる前」と「揚げた後」の食感の違い
とんかつを「揚げる前」と「揚げた後」に冷凍した時の「食感」と「風味」の違いをご紹介します。
揚げる前の食感
揚げる前に冷凍したとんかつは、
・衣はサクサクとした食感
・下味もしっかり染み込んでいる
揚げた後に冷凍したとんかつは、
・衣はカリッとした食感
・香ばしさが増し、時間が経ってもおいしい
とんかつを揚げる前と後の冷凍方法の違い
とんかつを揚げる前に冷凍するのと、揚げた後に冷凍するのでは、やり方に違いがあります。
揚げる前に冷凍する方法
とんかつを揚げる前に冷凍する方法は、
①豚肉に味と衣をつけ、後は揚げるだけの状態にする。
②とんかつを一枚ずつラップする。
③とんかつがかさならないようにして、保存冷凍袋にいれて密閉する。
④金属性のバットにいれて急速冷凍する。
ポイント
・とんかつを1枚ずつラップして密閉することで、とんかつ用のお肉を乾燥から守り、解凍後もお肉のパサつきを防いでくれます。
・熱伝導のいい金属製のバットを使用することで急速冷凍が可能になり、急速冷凍することで、お肉からドリップ(旨味成分)がでるのを防ぐことができる。
揚げた後に冷凍する方法
とんかつを揚げた後に冷凍する時の大事な注意点があります。
それは、
揚げた後、とんかつの粗熱を完全にとった後に冷凍することです。
豚肉に、
・下味をつけ、衣をつけて揚げて、常温で冷ます
・とんかつの脂をきって、20〜30分常温で放置する
粗熱が取れた後は、揚げる前の方法と同じです。
②揚げとんかつを一枚ずつラップする。
③とんかつがかさならないようにして、保存冷凍袋にいれて密閉する。
④金属性のバットにいれて急速冷凍する。
冷凍したとんかつの解凍・料理の仕方
冷凍したとんかつの「解凍法」「調理法」をご紹介します。
揚げる前に冷凍したとんかつの解凍・調理方法
①低温の油(160度)に、凍ったままのとんかつをいれます。
②1枚は約8分、2枚だと約10分くらい、衣がきつね色になるまで揚げる。
③衣がきつね色になった後、さらに色がこくなるまで中火で1〜2分程度あげる。
ポイント
・低温でしっかり中心部まで火を通す
・最後に高温で揚げる
低温でしっかり中心部まで火を通す
冷凍したとんかつを、そのまま高温で揚げると、表面だけ焦げて、中心部は加熱不足になります。、
加熱不足は、食中毒などのリスクが高くなります。
揚げはじめは低温で、じっくり火を通すことで、ゆっくり中心部まで火が通ります。
揚げる前に冷凍したとんかつは、
低温〜最後に高温にすることがポイントです。
最後に高温で揚げる
揚げはじめは、低温。
最後に高温であげることで、冷凍しないで揚げた時の食感と遜色ない出来上がりになります。
最後は高温で揚げることで、衣はサクサク、肉はジューシーになります。
揚げた後に冷凍したとんかつの解凍・調理方法
①凍ったまま200度に温めたオーブントースターで約4分加熱。
②加熱後、衣がカリッとしてきたら、焦げ防止に、とんかつの上にアルミホイルをのせる
③8~10分くらい加熱して、とんかつの中心部まで温める
急ぐ場合は、耐熱皿にキッチンペーパーをしいて、その上に揚げたとんかつをのせて、電子レンジを500Wにセットして、とんかつ1枚につき約1分間加熱し半解凍します。
そのあとは、
①加熱後、衣がカリッとしてきたら、焦げ防止に、とんかつの上にアルミホイルをのせる
②8~10分くらい加熱して、とんかつの中心部まで温める
ポイント
揚げた後に冷凍したとんかつは、オーブントースターで解凍することで、
・「衣はカリッ」「香ばしさアップ」
・時間が経ってもベチャとならない
「とんかつの冷凍保存」、揚げる前、揚げた後の違いを一覧表にまとめました。
揚げる前に冷凍 | 揚げた後に冷凍 | |
解凍後の食感 | ・衣はサクサクとした食感 | ・衣はカリッとした食感 |
解凍後の風味 | ・下味もしっかり染み込んでいる | ・香ばしさが増し、時間が経ってもおいしい |
保存期間 | 約3週間 | 約1か月 |
解凍方法 | ①低温の油(160度)に、凍ったままのとんかつをいれます。 ②1枚は約8分、2枚だと約10分くらい、衣がきつね色になるまで揚げる。 ③衣がきつね色になった後、さらに色がこくなるまで中火で1〜2分程度あげる。 |
①凍ったまま200度に温めたオーブントースターで約4分加熱。 ②加熱後、衣がカリッとしてきたら、焦げ防止に、とんかつの上にアルミホイルをのせる ③8~10分くらい加熱して、とんかつの中心部まで温める |
最適な使い道 | ・揚げたてを食べたい時 ・夕食のメインに |
・少量ずつ使いたい時 ・お弁当のおかずに(お弁当用とんかつは、予め一口サイズで作っておくと便利です) |
とんかつは、
・筋切り
・衣をつける
など、手間のかかる料理。
一度の、多めに作って冷凍することで、「面倒くささ」を解消できます。
冷凍の仕方も、「揚げる前に冷凍」するのと「揚げた後に冷凍」するのとでは、食感と風味に違いがでます。
とんかつを冷凍保存する時の参考にしてください。
まとめ
とんかつ用肉と豚ステーキ用のお肉の違いについてご紹介しました。
とんかつ用も豚ステーキ用も、お肉に違いはないです。
とんかつもステーキも、厚目のお肉をつかいます。
厚目に切ったお肉は、
・噛み応えがでる
・加熱すると反りかえる
・均一に熱を通しにくい
などがあります。
それを予防するのが「筋切り」。
筋切りすることで、
・噛み応えがでる⇒やわらかくなる
・加熱すると反りかえる⇒反り返りを抑えられる
・均一に熱を通しにくい⇒縮まなくなり均一に火が入りやすくなる
などのメリットがあります。
そして、おススメしたいのが、
とんかつの冷凍保存。
毎回作るよりも一度に多めにつくることで、手間のかかる面倒な調理工程を解消できます。
冷凍の仕方も、「揚げる前に冷凍」するのと「揚げた後に冷凍」するのとでは、食感と風味に違いがでます。
あなたは、
どんな時に、とんかつを食べたいですか?
とんかつを食べるシーンを思い浮かべて、「揚げる前に冷凍」か「揚げた後に冷凍」どっちにするかを決めるようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!