豚肉ブロック 切り方

【はじめての肉の低温調理】食中毒リスクを最小限にする5つの注意点

料理愛好家やSNSで注目されている

「低温調理」

お肉を低温調理すると、「やわらかさ」「ジューシーさ」がアップすると評判。

ネット上にも、色々なレシピが紹介されていて、どれもおいしそうで「一度は挑戦しようかな~」と思っている人も多いのではないでしょうか?

でも、ネットに紹介されている中には、「正しい低温調理方法」から、はずれているものもあります。

低温調理は、正しい方法でやらないと「食中毒」リスクがあります!

どうせ低温調理に挑戦するのだったら、「正しい低温調理の方法」を理解してからやるべきです。その方が「食中毒」のリスクを最小限にすることができます。

この記事では、低温調理にはじめて挑戦してみようかな~?と思っている「あなた」に、
①低温調理とは、どんな調理法なのか?その「メリット」
②食中毒リスクを最小限にする正しい低温調理の5つの注意点
③低温調理器具の選び方
の順番でご紹介します。

では、はじめます!

低温調理とは?

低温調理は、お肉の中心温度を60度~65度に保って食材を茹でる調理方法。低温で調理するため、お肉の旨味の流失を最小限に抑えることで「やわらかさ」や「旨味」が増すことができます。低温調理専用の低温調理器を使用することで「食中毒」のリスクを最小限に抑えることができる調理法。

低温調理メリット

低温調理のメリットは、
低温の湯煎でゆっくり食材を加熱することで旨味成分の流失を抑えおいしさがアップ
・低温調理機をつかうとほったらかしで調理できる
・重量が減らない
一つずつ解説します。

低温の湯煎でゆっくり食材を加熱することで旨味成分の流失を抑えおいしさがアップ

お肉の旨味成分は、タンパク質と水分。

高温でお肉を調理すると、繊維が壊れてしまいます。繊維が壊れることで旨味成分の元となるタンパク質や水分が「肉汁」として繊維の外に流れ出てしまいます

旨味成分のタンパク質の一種「ミオシン」「アクチン」「コラーゲン」は、60度~65度を超えると変性し、繊維内に溶け出します

低温調理は、60度~65度の低温でゆっくり調理します。低温調理することで繊維を壊さず旨味成分を中に閉じ込めることができます。旨味の流失を最小限にすることでおいしさがアップするというわけです。

ちなみに、
・ミオシン・・・ミオシンは棒状のタンパク質で50度で変性し始める。変性を始めると噛 み切りにくい生肉の食感から歯切れのいい食感になります。

・コラーゲン・・・56度で変性し始め、70度以上でゼラチン化する

・アクチン・・・66度で変性し始める。アクチンは水分を多く含むタンパク質。66度を超えると収縮し水分を外に排出します。水分が少なくなることで硬くなる性質。低温調理の温度が65度以下に設定されているのはアクチンの変性温度と深い関連があったんです。

お肉が硬くなる原因は2つ

①アクチンが収縮しきって水分を放出し硬くなる
※アクチンは66度を超えると水分を外に放出して硬くなる
②コラーゲンが溶け切っていないので硬い

低温調理を60度~65度に温度を保つ理由は、2つあります。
①タンパク質の一種「ミオシン」「コラーゲン」「アクチン」の変性温度を利用する。
・ミオシン・・・ミオシンは棒状のタンパク質で50度で変性し始める。変性を始めると噛 み切りにくい生肉の食感から歯切れのいい食感になります。

・コラーゲン・・・56度で変性し始め、70度以上でゼラチン化する

・アクチン・・・66度で変性し始める。アクチンは水分を多く含むタンパク質。66度を超えると収縮し水分を外に排出します。水分が少なくなることで硬くなる性質。

もう一つは、
②食中毒の原因「菌」を死滅させる加熱処理の温度。

ローストポークにつかう豚肉には「寄生虫」がいます。寄生虫は、お肉の中心温度を60以上に保って30分以上加熱することで死滅します。

もうお解かりですよね!

低温調理が60度~65度なのは、
・タンパク質の変性温度を利用して、お肉の旨味成分の流失を最小限におさえることができる
・豚肉の寄生虫を死滅できるから
です。

食中毒リスクを最小限にする方法を詳しく知りたい人は参考にしてください。
⇒https://jiyuujitugenblog.com/%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%82%af%e3%82%92%e5%88%87%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%99%82%e3%81%ae%e3%83%94%e3%83%b3%e3%82%af%e8%89%b2%e3%81%a3%e3%81%a6%e9%a3%9f%e3%81%b9%e3%81%a6/

低温調理器をつかうとほったらかしで調理できる

巷には、低温調理はに関して色々なレシピがネット上にアップされていますよね。でも、本来の低温調理からずれている物もあるので注意が必要です。

低温調理には、専用の調理器具を使うことをお勧めします。

それが、

「低温調理器」

低温調理につかう容器に固定して、温度と時間をセットするだけ。あとは、ほったらかしで勝手に調理してくれます。お値段は少々しますが、いろいろな用途に使えるので便利です!

低温調理は重量が減らない

従来の「焼く」調理法では料理工程で旨味成分のタンパク質や水分が、お肉の外に流失していまいます。低温調理は、肉汁などの流失を最小限におさえます。その分、お肉の重量を目減りすることなく楽しむことができます。

食中毒リスクを最小限にする正しい低温調理の5つの注意点とは?

低温調理で食中毒リスクを最小限にするためには、
①清潔な「まな板」「包丁」「お肉を入れるバッグ」を使うことが重要。そして、清潔な「手」で調理する。
②新鮮な食材を使い食材に菌などをつけないように注意する。
③低温調理加熱時間基準表の設定温度、時間をきっちり守る。
④正しい低温調理方法で加熱する。
⑤すぐに食べないときには、急冷する。

①清潔な「まな板」「包丁」「お肉を入れるバッグ」を使うことが重要。そして、清潔な「手」で調理する

清潔な「まな板」「包丁」「手の清潔」は低温調理に限らず料理に基本。

まな板や包丁は切る時に食材に直接触れるので、普段から清潔に保つことが大事です。

まな板も包丁も「生食用」「加熱用」「肉用」「魚用」など食材ごとに分けて使うのが理想。ですが、家庭で食材ごとに分けて使うのは面倒ですよね。包丁は使った後に洗剤などでしっかり洗い、除菌スプレーでしておくと清潔に保つことができます。

まな板を清潔に保つ方法

まな板を清潔に保つには、
・包丁と同じで、使った後は洗剤などでしっかり洗い、除菌スプレーでしておく

・使う前に水洗いし清潔な付近やペーパータオルで拭く。水で濡らすことでまな板の表面に 膜ができて、匂いやシミが付きにくくなります。木のまな板は片面だけ濡らすと反る原因になるので注意してください。

・洗う際は40度くらいの「ぬるま湯」で洗剤をつけたスポンジなどで洗う。いきなり熱めのお湯で洗うと、肉や魚などのタンパク質がかたまってしまい落ちにくくなるので注意してください。

・使い終わったまな板は、なるべく「風通しのいい場所」で保管。

②新鮮な食材を使い食材に菌などをつけないように注意する

お肉の調理でよく耳にするのが、「常温の戻してからつかう」です。

菌は、気温が8度~15度で増殖をはじめます。15度~30度でかなり増殖し、30度を超えると急増します。

常温まで放置した食材は、菌がかなり増殖し食中毒リスクが高まってしまいます。食中毒リスクを減らすには「今までの常識」を疑うことも必要です。

お肉などの食材を下処理するときは、調理用ビニール手袋を使うとより食中毒リスクを減らすことができます。

菌の多くは「人の手」を介して食材に付きます。食材を触った手で道具やお肉を入れるバッグ、低温調理器のスイッチを触るとどうなるか・・・おわかりですよね・・・菌があちこちについて食中毒リスクが爆上がりになります!

調理の際は「調理用ビニール手袋」の使用をおすすめします。

③低温調理加熱時間基準表の設定温度、時間をきっちり守る

「60度の湯煎で30分以上」加熱すると豚肉の中の菌が死滅する。ということを耳にすることがあります。

これは間違いです!

「寄生虫」や「菌」を死滅させるためには食材の「中心温度」が重要になります。

じつは、お肉の厚さが3cm位でも中心温度が推奨の設定温度まで到達するのに約100分位かかります。

そして、食中毒の「原因菌」を死滅させるには、

一覧表にまとめてみました。

寄生虫 食材の中心温度が60度以上で1分間以上の過熱が必要
O157 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
サルモネラ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
病原性大腸菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
腸炎ビブリオ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
ノロウイルス 食材の中心温度が85度で1分間以上の過熱が必要
ボツリヌス菌 100度の過熱でも死滅しない

食中毒をひきおこすその他の細菌は、食材の中心温度が「63度で30分以上の過熱が必要といわれています。

食中毒リスクを最小限にするためには、お肉の中心温度が重要なんです。厚さ3cmのお肉でも、中心が推奨温度に到達するのに約100分。

寄生虫や細菌を死滅させるために必要な時間を含めると、プラス時間が必要になってきます。

なので、

「60度の湯煎で30分以上」を信用するのは危険です!

 

ちょっと、話がそれてしまいましたが、

 

お肉を低温調理する上で最も重要なポイントは、
・ねらいたい温度
・お肉の最も厚い部分を測る
・時間を早見表でチェック

豚肉を低温調理する際の基準は、
⇒https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf
を参考にしてください。

 

④正しい低温調理方法で加熱する

低温調理は正しい加熱方法で行わないと、「出来上がりにムラ」ができてしまいます。そして、食中毒リスクも高くなってしまいます。以下のようなことは危険です。注意してください。

×耐熱バッグではないものを使う
〇バッグが破損する危険があります。製品箱をよく読んで「耐冷温度の表記しかないない   バッグは適していません。使用しない!

×バッグに幾つもの食材を重ねて詰め込む
〇詰め込み過ぎると食材を均一に加熱すことができない。重ねて低温調理する場合は、そのバッグの食材の最も厚みのある部分での加熱時間が必要です。

例えば、「60度」の温度設定で重ねた食材の厚さが「8cm」で低温調理すると、安全レベルに達するまでに3時間35分かかります。同じ温度設定で食材を重ねない「2cm」の場合は、1時間25分で済みます。

食材を重ねて詰め込むことは「時間」もかかるし「食中毒」の危険も高まってしまいます。一つのバッグに食材を入れるときは、重ならないように入れてください

×食材の一部が湯煎から出ている
〇食材の一部が湯煎から出ていると出ている部分は、設定温度に加熱できません。トングや耐熱瓶などを使い食材全体が完全に沈むようにしてから調理してください。

⑤すぐに食べない場合は急冷する

調理後すぐに食べない場合は水をいれたボールなどに氷などをいれ急冷してください。この時、食材が浮いて氷水からでないようにトングなどを使い食材全体が完全に沈むようにするのが重要。

完全に冷えたらバッグの水分をふき取り、「冷蔵庫」か「冷凍庫」にいれて保存してください。保存できる目安は、
・冷蔵・・・約3日
・冷凍・・・約1ヶ月です。

低温調理器とは

温調理器とは
60度~65度などの低い温度で加熱できる調理器具(設定温度は変更可能)。タンパク質の性質を利用しお肉の旨味成分(肉汁)の流失を最小限におさえることができます。肉汁の流失を最小限に抑えることで食材の「旨味」と「やわらかさ」を最大限に引き出すことができます。

電気代は、
・800Wで1時間20円程度
・1000Wで1時間30円程度

一日1時間使っても、1か月800円程度です。

低温調理器の選び方

低温調理器を選ぶ際には、設定温度をこまかくできるものがおすすめ

低温調理器の中には「弱」「中」「強」のシンプルな切り替えのものもあります。しかし、低温調理は食材や料理によって適した温度があります。食材を生かし、おいしい料理にしたいのであれば温度管理がこまかくできるものがおすすめです。

低温調理器のパワーの確認

低温調理器は機種によってパワーがちがいます。

パワーの強いものは水が温まるのが早いです。設定温度までの水が温まる速度が早ければ早いほど料理時間の時短になります

一般のモデルは800Wが主流ですが、大きな食材を調理する時や一度に沢山の食材を低温調理をする時には1000Wクラスのパワーの強いモデルがおすすめです。

あなたの家族構成や生活スタイルを考えてお選びください。

低温調理器をセットする「鍋の深さ」・「対応できる水量」をチェックする

低温調理器をセットする鍋の深さは20cmくらいが最適。

低温調理器を選ぶ時には、あなたが所有している鍋の深さを確認しておきましょう。低温調理器は使用するのに、低温調理器を「安定させる深さ」が必要です。もしない場合は、別途購入しなければならくなるので事前確認は大事です。

そして、対応できる水量も確認しておきましょう。

基本的には15ℓ程度のもので十分ですが、「お肉を丸ごと」とか「一度にたくさん」低温調理する場合には20ℓの鍋が必要です。

選ぶなら「ねじ式」or「クリップ式」?

低温調理器をセットする方式には、ねじを締めて鍋に固定させる「ねじ式」と鍋の淵を挟んでとめる「クリップ式」があります。

「ねじ式」は、しっかり「ねじ」で固定するので安定性に優れています。多少複雑な形状の鍋にでも対応できるのが利点です。

「クリップ式」は、脱着が簡単。簡単に脱着できるので毎日使用する人使用頻度が高い人にはおすすめです。

の設定ができるものを選ぶ

温度だけでなく、時間の設定もできるものを選んで下さい。料理時間を設定できる「タイマー機能」搭載のものはほったらかしで調理してくれます。低温調理しながら他の事もできるのですごいく便利です。

そして、設定した時間になると自動でoffになる「自動オフ機能」の有無、設定できる時間範囲の確認も忘れずにチェックしましょう。

スマホアプリ対応のものが便利

低温調理器の中には、「設定温度」や「調理時間の設定」がスマホアプリで管理できるモデルもあります。

外出先からも操作することもできるます。ずっと見張ってなくてもいいので、調理中に買い物など他の用事を済ませることもできます。隙間時間の有効活用の幅が広がるのですごく便利ですよね。

【はじめての肉の低温調理】食中毒リスクを最小限にする5つの方法まとめ

この記事では、
低温調理にはじめて挑戦してみようかな~?と思っている「あなた」に、
①低温調理とは、どんな調理法なのか?その「メリット」
②食中毒リスクを最小限にする正しい低温調理の5つの方法
③低温調理器具の選び方
をご紹介しました。

低温調理は、お肉の旨味成分が流失してしまう高温で調理する従来の方法とは異なります。低温でゆっくり食材に加熱する方法。

60度~65度で加熱することで、旨味成分を食材内に残し「旨味」「やわらかさ」がアップします。

中心部まで加熱することで「食中毒リスク」を最小限に抑えられることも、低温調理の素晴らしいところ。

低温調理にはじめて挑戦してみようかな?と思っているあなたには「低温調理器」を使って「正しい低温調理」をしてください。

「これ半焼け」じゃないの?と思って食べるのと、「しっかり加熱できた」と確信をもって食べるのとでは「おいしさ」も違ってきます。

この記事が、
低温調理にはじめて挑戦してみようかな~と思っている「あなた」の参考になると嬉しいです!

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

 

ABOUT ME
kazu
はじめまして。私は某スーパーで精肉部門責任者歴30年のお肉のプロです。スーパーには毎日沢山のお客様が来店され色々なお肉の質問を受けます。「えッ、こんな疑問があるのか!」と気づかされることが多いです。お肉の疑問を解決して、「おいしいお肉」を食べてほしい!そんな思いから「お肉の基礎知識」などをブログで発信しています。少しでも、あなたのお役に立てたなら嬉しいです!