牛肉料理

食中毒から子供を守る4原則|牛肉生焼けが危険な理由をお肉のプロが解説

子供って、

お肉の生焼けは大丈夫なの?

 

多くの人が、牛肉は生焼けで食べても大丈夫と思っています。

が、、、

実は、大丈夫な場合とダメな時があります

その理由を、お肉のプロがお答えします。

この記事では、
・牛肉を生で食べてはいけない理由・レアなら大丈夫な理由
・食中毒の原因
・細菌の死滅温度
・子供を食中毒から守る4原則
・牛肉の焼き方
・用途別の焼き方
をご紹介します。

牛肉が生でたべてはいけない理由・レアなら大丈夫な理由

牛肉は飼育環境や牛肉本来の体質から、中心部には細菌をもっていません

しかし、レバーやホルモンなどの消化器官には
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます

レバーやホルモンなどの消化器官をの除く部位はレアでも食べることができるので、本来は生焼けでも問題ありません。

レアと生焼けは少し違います。
違いは後半の記事でご紹介しています。

しかし、牛肉に細菌がいないとはいっても、調理段階で、手や調理器具などから細菌が肉の表面に移ることがあります

生で食べるときには、生食する牛肉の表面を1〜2cm程度削り(トリミングして)、表面の細菌を完全に取り除くことで生食が可能になります。

このときも、目に見えない細菌が完全に取り除けてかどうかはわかりません。
自己責任になります。

この時、細菌が少しでものこっていると、
表面についた細菌原因で食中毒などの症状をひきおこします

牛肉でも、「生食は危険」ということを覚えとおいてください。

次は、食中毒を引き起こす、牛肉の細菌についてご紹介します。

食中毒の原因菌

食中毒の原因は、腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなどの細菌に感染することでおきます。

食中毒を引き起こす細菌の特徴と症状などをご紹介します。

腸管出血性大腸菌O157

腸管出血性大腸菌O157は、ベロ毒素を作り出す大腸菌で、感染すると出血性の大腸炎をおこします

症状

・健康な成人・・・無症状、下痢
赤ちゃん・小児・・・頭痛、腹痛、下痢、出血性腸炎
・基礎疾患がある高齢者・・頭痛、腹痛、下痢、出血性腸炎
重症の場合は死亡することもあります。

潜伏期間

4〜8日。

予防のポイント

・調理前には石鹸で手を洗う
・生肉は十分加熱して中まで火を通す

カンピロバクター

カンピロバクターは、下痢をひきおこす4大原因菌ひとつ。

胃腸炎を最も多くひきおこす原因菌。

症状

・下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐気、嘔吐
・症状は3〜6日続く
重症化すると死亡することもあります。

潜伏期間

2〜5日。

予防のポイント

・調理前には石鹸で手を洗う
・生肉は十分加熱して中まで火を通す。

これらの細菌は、加熱することで死滅します。

それぞれの細菌の死滅温度は、次の表を御覧ください。

牛肉に付着する細菌の死滅温度

牛肉には、
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。

これらの細菌は、加熱することで死滅します。

一覧表にまとめてみました。

カンピロバクター 食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱が必要
腸管出血性大腸菌 食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱が必要
寄生虫 食材の中心温度が60度以上で1分間以上の過熱が必要
O157 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
サルモネラ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
病原性大腸菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
腸炎ビブリオ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
ノロウイルス 食材の中心温度が85度で1分間以上の過熱が必要
ボツリヌス菌 100度の過熱でも死滅しない

食中毒をひきおこす、その他の細菌は、食材の中心温度が63度で30分以上の過熱が必要」といわれています。

では、どのようなことに注意すると子供を食中毒から守れるのか?

子供を食中毒から守る4原則

抵抗力の弱い子供を食中毒から守るためには、
・牛肉の生レバーやユッケなどは食べさせない
・牛肉でも生焼けは食べさせない
・生の肉を触れる箸と食べる箸をいっしょにしない
・牛肉は用途に応じてしっかり加熱する
などのことに注意する必要があります。

牛肉の生レバーやユッケなどは食べさせない

牛レバーには、腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなどの細菌がいます。
この細菌は、加熱しないと死滅しません。
生牛レバーを口にすると、細菌が体の中に入ってしまい食中毒になる危険があります。

牛肉のユッケも、中心部は無菌ですが、表面には細菌がいる可能性があります。
表面をトリミングしたもの以外は、牛肉であってもユッケもNGです。

牛肉でも生焼けは食べさせない

牛肉は、レバーやホルモン以外の部位は無菌か、表面に細菌がついているだけです。
牛ステーキや焼肉であれば、表面をしっかり加熱すればレアでも大丈夫です。

しかし、牛100%のハンバーグなどの牛加工食品の生焼けで食べてはいけません。
中心部まで完全に加熱する必要があります。

生の肉を触れる箸と食べる箸をいっしょにしない

生肉の表面には、細菌が付着している可能性が高いです。

生肉に触れた箸を使って、食べるお肉に触れると細菌が移ってしまいます。
危険ですので「生肉に触れる箸と食べる箸」は別々につかうよう。

牛肉は用途に応じてしっかり加熱する

牛肉は用途に応じて、しっかり加熱することが重要です。

加熱の仕方は、大きく分けると
・表面だけの加熱で大丈夫な場合
・中心部までしっかり加熱する必要がある場合
があります。

ここで、牛肉の焼き方についてご紹介したいと思います。

牛肉の焼き方

外食でステーキを注文するときに聞かれるのが、「焼き加減」。

レアでお願いします。とか

ミディアムで。とか
です。

あなたは、この違いご存じですか?

違いは、ステーキの中心部の温度
簡単にご紹介します。

レア

レアは、中心部の温度が55~65℃以下
殆ど、中心部は生の状態です。

ミディアム

ミディアムは、中心部の温度が65~70℃
中はピンク色の状態。

ウェルダン

ウェルダンは、中心部の温度が70~80℃
中心部分まで、しっかり火が通た状態

その他にも、レアとミディアムの中間の焼き加減もあります。

ミディアムレア

ミディアムレアは、中心部分の温度が65℃
中心部分は、ややレアに近い状態

では、生焼けとはどんな状態?

生焼け

生焼けは、表面だけが焼けていて、中心部分まで火が通っていない状態

牛肉は色々な食べ方があります。

そして、料理よって焼き加減も違ってきます。

料理ごとの焼き方

牛肉は部位によって、色々な食べ方ができるのも魅力の一つですよね。

ステーキなどは、焼き加減で「味」「旨味」「食感」の違いを楽しむことができます。

しかし、焼き加減に気をつけないと「食中毒リスク」が高くなります。

どのように焼けば「細菌を死滅させ」「食中毒リスク」を低くできるのかを、料理用途別にご紹介します。

ステーキ・焼き加減はレア~ウェルダン

牛ステーキは、サーロインやヒレ、もも肉などの塊をステーキ用にカットします。

基本的に、レバーやホルモン以外に部位には細菌はいませんが、料理過程で細菌が付着する場合があります。

そのため、お肉の表面を、しっかり加熱する必要があります。

細菌を死滅させることで食中毒も防止できますので、お肉表面の加熱は十分に行ってください。

焼肉・焼き加減はレア~ウェルダン

焼肉は、ステーキに比べ厚みがないので、少し焦げ目が付く程度に焼くだけで問題ありません。

しかし、次にことには注意が必要です。

生肉に触れたトングや箸で焼けた肉をさわる

焼肉などの表面には、細菌などがいる可能性があります。

焼肉を焼く場合は、「焼き専用のトングや箸」と、「食べる専用の箸」と区別して使い分けしましょう。

食べる箸をつかって、焼いたりひっくり返したりすると、使った箸に菌が付着し、食中毒になることがあります。

焼き専用のトングや箸食べる時につかう箸は区別することが安全につながります。

ハンバーグ・焼き加減はウェルダンのみ

ハンバーグの材料は挽肉。

挽肉は、材料を専用の「ミートチョッパー」にいれてつくります。

このとき、材料になるお肉は表面も中心部も混ぜ合わされるため、表面についている細菌が中心部に侵入することになります。

このため、牛肉100%のハンバーグでも、しっかり中心部まで十分加熱する必要があります。

牛肉と豚肉を混ぜた「合い挽き」も同様です。
中心部までしっかり加熱することが重要です。

細菌が死滅する温度は、「牛ハンバーグ」も「合い挽き」でも、中心部分の温度が75℃以上で1分間以上の加熱が必要です。

焼き方としては※「ウェルダン」※の焼き加減が最適です。

ハンバーグを焼く時には、しかりと中心部分まで加熱する「ウェルダン」の焼き加減で焼いてください。

レバー・ホルモン・焼き加減はウェルダンのみ

レバーやホルモンには、
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。

腸管出血性大腸菌O157やカンピロバクターは、
食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱で死滅します。

レバーやホルモンなどの消化器官の部位を食べる時には、
中心温度が75度以上で1分間以上しっかり焼いてください。

まとめ

子供は、

牛肉の生焼けは大丈夫なの?

について色々ご紹介しました。

子供は、大人に比べ抵抗力が弱く食中毒になるリスクが高いです。

子供に牛肉を食べさせ時に気を付けることは、
・牛肉の生レバーやユッケなどは食べさせない
・牛肉でも生焼けは食べさせない
・生の肉を触れる箸と食べる箸をいっしょにしない
・牛肉は用途に応じてしっかり加熱する
などのことに注意する必要があります。

食中毒は、お肉をしっかり加熱することで予防できます

牛肉の細菌の死滅温度と、料理別の焼き方もご紹介したので参考にしてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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