上手に豚角煮を作るのはむずかしいですよね。
しかし、ポイントを押さえればあなたでも簡単にトロトロの豚バラ角煮ができます。
この記事では、
・トロトロになる豚バラ角煮下茹で3ステップ
・トロトロ豚バラ角煮の作り方
・角煮用豚バラの選び方
・やわらかくなる豚バラ角煮の正しい切り方
をお肉のプロがご紹介します。
では、はじめます!
目次
トロトロになる豚バラ角煮の3ステップ
箸で切れる位やわらかい「トロトロになる豚バラ角煮」を作るための、下準備の3ステップ、
・茹でる前に焼く
・下茹ではしっかり
・味付けの時には落し蓋をする
をご紹介します。
ステップ①茹でる前に焼く
下茹でをする前に、フライパンで表面を焼きます。
これにはちゃんとした理由があります。
茹でる前に焼く理由
お店で食べる角煮の殆どは、表面を焼いたものが多いですよね。
これには、理由があります。
焼く理由①煮崩れの防止
角煮に使う豚バラは、脂の多い部位なので、煮込む過程で火が通りすぎてボロボロになることがあります。
それは、表面を焼くことで防止できます。
しっかり表面に焼き目をつけることで、「煮崩れ」をなくし、箸で持ち上げてもボロボロにならず食べやすくなります。
焼く理由②余分な脂をおとす
豚バラは脂の多い部位です。
焼くことで余分な脂が落ちコッテリしすぎないようになります。
余分な脂を落とすという意味では、焼く前に余分な脂身をきりおとす方法もあります。
しかし、脂身が少ないとパサパサの角煮になってしまいます。
牛脂で焼いたステーキや焼肉がおいしいですよね。
それと同じ原理で、お肉の脂で焼く方が格段においしい角煮になります。
焼く理由③食感
感じ方は人それぞれですが、焼き目がある方がおいしそうに見えませんか?
焼き目がある方が、ない物と比べると、食べた時の食感がおいしく感じませんか?
焼く理由④旨味を閉じ込める
表面をこんがり焼くことで、旨味成分の肉汁の流失を抑えることができます。
焼き目がつくことで、煮込み中でも旨味を逃さず出来上がりが上品な角煮になります。
ステップ②下茹ではしっかり
バラ肉の余分な脂を落とすには、しかり時間をかけて下茹ですることが大事です。
下茹でするメリットは?
・お肉が柔らかくなる
・豚肉の臭みをとれる
・調味料の入りがよくなり味付けが簡単になる
などがあります。
お肉が柔らかくなる
下茹では、お肉を柔らかくする効果があります。
これは、お肉に含まれるコラーゲンが関係しています。
コラーゲンは、長時間煮込むことでやわらかくなります。
コラーゲンは、65℃で収縮を始め硬くなりますが、75~85℃で柔らかくなりはじめます。
長時間煮込むことで、コラーゲンがやわらかくなり、お肉も柔らか食感になります。
豚肉の臭みをとる
角煮を作る時にいれる「ねぎ」。
この「ねぎ」には豚肉の匂いを消す効果があります。
ねぎといっしょに豚バラを長時間下茹ですることで、豚肉の臭みがねぎに移り少しずつ消えていくので「ねぎ」は必須のアイテムです。
調味料の入りがよくなり味付けが簡単
バラ肉は、とても脂の多い部位。
下茹でをしないで、いきなり味付けをしてもバラ肉に含まれる脂分で、調味料がお肉の入りにくくなります。
しっかり下茹ですることで、バラ肉の余分な脂はおちます。
下茹で余分な脂分を少なくすることで味付けが簡単になりますので、下茹ではしっかりやりましょう。
味付けの時は必ず落し蓋をする
角煮が硬くなるのは、煮ているときにお肉の表面が空気に触れて乾燥するのも原因のひとつ。
落し蓋は、お肉の乾燥を防いでくれる効果もあるので、味付けの時の落し蓋は大事です。
必ずしましょう
その他にも落し蓋が必要な理由があります。
・煮崩れを防ぐ
・味が均一にしみやすくなる
・煮汁の蒸発を防ぐ
煮崩れを防ぐ
食材が煮崩れの原因は、煮ていると時に食材が動いて、食材同士がぶつかったりすることも原因。
落とし蓋をすることで、食材が動きにくくなり煮崩れを最小限に抑えることもできます。
味が均一にしみやすくなる
落し蓋をすることで、煮汁が落し蓋にぶつかり対流ができ、お肉に味が均一にしみこみやすくなります。
落し蓋にぶつかった煮汁が鍋全体にまわり、食材に煮汁がいきわたることで、バラ肉全体にむらなく味を染み込ませることができます。
落し蓋をしないと、食材の下側にしか味がしみこまず、味にムラができてしまいます。
そして、味ムラを気にするあまり、何度も混ぜることで煮崩れをおこしやすくなります。
煮汁の蒸発を防ぐ
落し蓋は煮込み中の急激な煮汁の蒸発をやわらげてくれます。
落し蓋をすることで、煮汁の蒸発がゆっくりになり、
・急に煮詰まってしまったり
・煮汁が少なくなることで焦げつく
などの心配が少なくなります。
トロトロ食感の豚角煮をつくる3ステップをご紹介しましたが、いよいよ、作り方をご紹介します。
おいしい「トロトロ角煮」まで、もうひと頑張りです。
トロトロ豚角煮に作り方
このレシピは、前田美希さんのレシピ「とろとろ豚の角煮」のお手本です。
『とろとろ豚の角煮』の作り方
分量(2人分)
豚バラブロック肉 300g 片栗粉 大さじ1 サラダ油 小さじ2 A 水 300cc A 酒 大さじ3 A 醤油 大さじ3 A 砂糖 大さじ3 A 生姜 薄くスライスしたもの3〜4枚 ゆで卵 2個 大根 1/3本 からし お好みで
作り方
①豚バラ肉は4〜5cm角に切る。②豚バラ肉全体に片栗粉をまんべんなくまぶす。片栗粉をまぶした後は、余分な片栗粉を軽くはたき落としましょう。③フライパンにサラダ油を熱し、中火で豚肉全面に焼き色をつける。豚肉全面を焼いて、旨味が流れ出ないように閉じ込めます。中まで火を通す必要はないので、強火で手早く仕上げて大丈夫です。必ず全面を焼き付けましょう。④小鍋に焼いた豚肉を入れ、肉がしっかり浸るまで水を入れる。Aの水とは別に、下茹で用の分量外の水を用意します。下茹でするときの水は、豚肉がしっかりと浸かる量を入れるのが大事なポイント!水の量が少ないと、豚肉の表面が乾燥して固くなる原因になります。⑤水の状態から強火にかけてひと煮立ちする。沸騰したお湯に豚肉を加えるのではなく、豚肉を水から茹でることで、肉が固くなるのを防ぎます。⑥沸騰したら、蓋をして弱火で1時間下茹でする。1時間しっかり下茹ですることで、肉が確実に柔らかくなります。また、味の染み具合も左右する大事な行程ですよ。蓋をして水分の蒸発を防止していても、1時間も煮ると水分が飛びます。時折様子を見て、水を足してください。 必ず、豚肉がたっぷりの水に浸った状態をキープするのがポイントです。また、ゆで卵や大根を加える場合はこのタイミングで茹でておきましょう。大根は竹串がすっと入る柔らかさにまで煮てくださいね。⑦1時間経ったら、茹で汁を捨てる。茹で汁は豚肉の臭みが出ているので捨て、味付けの行程に入る際は新しい水を使用します。⑧鍋に豚肉とAの調味料を入れ、ひと煮立ちする。⑨沸騰したら火を弱火にし、落し蓋をして20〜30分煮る。煮ているときに肉の表面が乾燥しないよう、落し蓋をして表面の乾燥予防をしましょう。落し蓋をすることで肉に味がしっかり入り、旨みが逃げません。調理器具によって加熱時間は異なります。目安としては、煮汁が角煮の半身が出るくらいの量まで煮詰めましょう。⑩ゆで卵や大根を加え、落し蓋をして弱火で更に20分煮る。具が増えてかさが増すので、必要であれば、煮汁がまんべんなく染みるように鍋を大きなものに変えてください。ほろほろ食感の角煮ができあがり!
今回ご紹介したレシピで作れば、もう豚の角煮は完璧です!お箸でつかむと崩れてしまいそうになるほど、おどろきの柔らかさに仕上がりますよ。煮汁で照り照りになったお肉が、食欲をそそります。 お箸で切って口に入れた瞬間、とろとろにほどける食感がたまりません。脂の甘みが煮汁によく染み込んで、お酒もごはんもとまらないですよ! さらに肉からしみ出た旨みが大根や玉子にもよく染みて、コク深さを感じられます。出来たてを食べるのはもちろん、多めに作って翌日の楽しみにするのもいいですね。 時間はかかりますが、基本はほっとくだけでOKなので、みなさんもぜひ作ってみてくださいね。参照元:前田未希さんブログ
トロトロの豚角煮の仕上がりはいかがでしょうか?
えッ、トロトロになっていない?
バラ角煮がトロトロにならないのは、バラ肉の選び方が間違っているかもしれません。
どのようなバラ肉を選んだらいいのか?
トロトロになるバラ肉の選び方をご紹介します。
トロトロになる豚バラの選び方
バラ肉は、下の画像のような形をしています。
そして、
このような形にカットされてお店に並んでいます。
トロトロの角煮に選ぶ部分は
このように溝のようなものがある部分。
カットされた形としては、
このように脂身と赤身が何層にもなり、赤身より脂身が多い部分が「トロトロの角煮」には最適。
でも、切り方ひとつで、「硬くなったり」「やわらかくなったり」します。
角煮用の、豚バラブロックの正しい切り方も「おまけ」でご紹介しますね。
バラ角煮がやわらかくなるバラ肉の正しい切り方
あなたは、角煮用のバラブロックをどのように切っていますか?
数十秒の動画ですが、まずはこちらの動画をご覧ください。
見た後に記事を読んで頂くと、より理解が深まると思います。
⇒角煮の切り方
まずは、下の画像をご覧ください。
豚バラブロックが柔らかくなる切り方は2つのうちどちらかわかりますか?
正解は下(2枚目の画像)です。
なぜ、2枚目の切り方が正しいのかを解説します。
バラ肉の繊維
豚肉に限らず(牛肉でも鶏肉でも)お肉には筋繊維があります。
当然、バラ肉にも筋繊維があります。
ブロック肉をやわらかくする正しい切り方は、筋繊維の方向の見極めがポイントになります。
豚バラ肉ブロックの繊維は矢印方向に長くのびています。
お肉をやわらかくするには、
長く伸びている繊維を短く切ることでやわらかくなります!
この矢印が短くなるように繊維を短く切ることでお肉がやわらかくなります。
なので、2枚目の画像が正しい切り方になります。
たまに、筋繊維の方向に沿って切るといいと聞くことがありますが、私はおススメしません。何故なら、お肉の繊維は非常に丈夫で、加熱しても柔らかくならず噛み切れません。当然長いままの状態で歯に挟まってしまします。それが、「硬さ」を感じる原因になるからです。
基礎をわかったところで、
さっそく、バラブロックの角煮用の正しい切り方をご紹介します。
バラブロックの角煮用の正しい切り方
角煮は煮込み料理なので、煮込むことで、お肉自体はある程度柔らかくなります。しかし、より、やわらかくするには正しい切り方をするだけで、ワンランク上の美味しい豚角煮になります。
非常の大事なので、もう一度、確認させてください。
角煮を柔らかくする切り方はどっちでしたか?
もう、わかりますよね!?
正解は、2枚目の切り方です。
しかし、画像のような切り方では角煮には大きすぎるので、まずは、縦に3~4等分に切ります。
そして、筋目が短くなるように横に切ってください。
豚角煮といえば、お肉のジューシーさを味わう料理。なので、すこし大きめに切るのがおすすめ。
あとは、いつものように料理するだけで、やわらかくて美味しい豚バラ角煮ができあがります。
是非、お試しください。
まとめ
トロトロ豚バラ角煮には、
・トロトロになる部分を選ぶ
・時間をかけてしっかり下茹でする
・やわらかくなる正しい切り方をする
ことが大事です。
むずかしく感じる豚角煮もポイントをおさえることで、誰でも上手に作ることができます。
今回この記事でご紹介した、
・トロトロになる部分を選ぶ
・時間をかけてしっかり下茹でする
・やわらかくなる正しい切り方をする
の手順をふむと、「トロトロ角煮」が出来上がると思います。
ぜひ、参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!