牛肉料理

ハンバーグの生焼けは危険!牛100%でも危険な理由をお肉のプロが解説

スーパーの牛ミンチを使って作る、
牛100%のハンバーグは生焼けでも大丈夫?

結論からいうと、「NG」です。

大変危険です

たとえ牛100%のハンバーグでも生焼けで食べてはいけません。

危険な理由を、お肉のプロがご紹介します。

この記事では、
・牛肉がレアでも大丈夫な理由
・ハンバーグは牛100%でも危険な理由
・牛肉の細菌について
・細菌を死滅させる温度
・焼き方の種類
・ハンバーグの上手な焼き方
についてご紹介します。

では、はじめます!

牛肉はレアでも大丈夫!

牛肉は飼育環境や牛肉本来の体質から、中心部には細菌をもっていません

しかし、レバーやホルモンなどの消化器官には
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。

レバーやホルモンなどの消化器官をの除く部位はレアでも食べることができるので、本来は生焼けでも問題ありません。

では、なぜ牛100%ハンバーグの生焼けはダメなのか?

牛100%ハンバーグでも生焼けが危険な理由

牛肉はレアでも大丈夫なのに、なぜ、牛100%ハンバーグの生焼けは危険なんでしょうか?

危険な理由を解説します。

牛ハンバーグの材料は、牛肉のミンチ。

牛ミンチの材料は、色々な部位の寄せ集めでできています。
寄せ集めのお肉の表面にも細菌が付着している可能性があります

つまり、牛ミンチの材料は、細菌が付着している可能性のあるお肉が混ぜ合わされて作られています。

当然、中心部に細菌がいる可能性が高くなります。

ここまで、ご理解できましたか?

そのようにして作った牛ミンチの材料を機会の中で混ぜ合わせて作るので
当然、細菌がついた表面が中心部に移ることになります。

牛100%ハンバーグの生焼けが危険な理由は、
①牛100%ハンバーグの材料は、表面に細菌がついている可能性あるお肉の寄せ集めなので中心部に菌がいる可能性が高い。
②ミンチの機械で混ぜ合わされるので、細菌が付いた表面が中心部に異動する可能性がたかくなる。

これが、牛100%でも生焼けが危険な理由です。

でも、本当に危険なのは「生焼け」ではなく「細菌」なんです。

どういうことなのか?をご紹介します。

 

牛肉の細菌

牛肉の消化器官(レバーやホルモンなど)には、細菌がいます。

それが、加工段階で、他の部位の表面に移ることがあります。

牛肉の細菌

牛肉消化器官には、
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。

ハンバーグの生焼けが危険なのは、細菌が引き起こす食中毒です。
ハンバーグが生焼け状態では、細菌が繁殖して食中毒リスクが高くなります。

しかし、牛肉の細菌は、加熱することで死滅します。

では、どのくらいの温度で細菌は死滅させることができるのでしょう?

細菌を死滅させる温度

細菌の死滅温度を一覧表にまとめてみました。

カンピロバクター 食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱が必要
腸管出血性大腸菌 食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱が必要
トキソプラズマ 食材の中心温度が67度以上で2分間以上の過熱。または、-20度で8時間以上の冷凍が必要
E型肝炎ウイルス 食材の中心温度が63度で30分間以上の過熱が必要
サルモネラ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
病原性大腸菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
腸炎ビブリオ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
ノロウイルス 食材の中心温度が85度で1分間以上の過熱が必要
ボツリヌス菌 100度の過熱でも死滅しない

食中毒をひきおこす、その他の細菌は、食材の中心温度が63度で30分以上の過熱が必要」といわれています。

牛肉の細菌の死滅温度がわかったところで、牛100%のハンバーグはどのように焼けばいいのか?をご紹介します。

ハンバーグの焼き方

ハンバーグもステーキの焼き方を参考にしましょう。

外食でステーキを注文するときに聞かれるのが、「焼き加減」。

ステーキの焼き加減も色々あります。
違いは、ステーキの中心部の温度

ハンバーグの焼き加減も、中心部の温度で判断しましょう
簡単にご紹介します。

レア

レアは、中心部の温度が55~65℃以下
殆ど、中心部は生の状態です。

ミディアム

ミディアムは、中心部の温度が65~70℃
中はピンク色の状態。

ウェルダン

ウェルダンは、中心部の温度が70~80℃
中心部分まで、しっかり火が通た状態

その他にも、レアとミディアムの中間の焼き加減もあります。

ミディアムレア

ミディアムレアは、中心部分の温度が65℃
中心部分は、ややレアに近い状態

では、生焼けとはどんな状態?

生焼け

生焼けは、表面だけが焼けていて、中心部分まで火が通っていない状態

 

ハンバーグの焼き方

挽肉は、材料を専用の「ミートチョッパー」にいれてつくります。

このとき、材料になるお肉は表面と中心部が混ぜ合わされるため、表面についている細菌が中心部に侵入することになります。

このため、牛肉100%のハンバーグでも、しっかり中心部まで加熱する必要があります。

細菌を死滅させるためには、中心部分が75℃以上で1分間以上の加熱が必要です。

焼き方としては「ウェルダン」の焼き加減が最適です。

ハンバーグを焼く時には、しかりと中心部分まで加熱する「ウェルダン」の焼き加減で焼いてください。

しかし、ハンバーグを焼くのは、ステーキを焼くより難しいですよね。

表面はおいしそうな焼き目が付いているのに、中は生焼けだった。
なんてことありますよね?

そこで、

「生焼け」と「しっかり火が通っている状態」の見分け方をご紹介します。

ハンバーグの生焼けの見分け方

ハンバーグの、生焼けの見分け方をご紹介します。

いちばん確実な方法は、「調理用温度計」を使う方法です。

ある程度焼いたハンバーグのに温度計を中心部分まで刺して、75℃以上になっていることを確認後、2分以上加熱します。

75℃以上で2分間以上加熱することでカンピロバクターなどの細菌を死滅させ、生焼けも防止することができます。

調理用温度計がない場合は、昔ながらの「竹串を刺して出てくる肉汁の色で確かめる方法」があります。

竹串をハンバーグの中心部分まで刺します。
この時に出てくる肉汁の色で生焼けか、そうでないかを見分けます。

でてくる「肉汁の色が赤ければ中心部分はまだ生焼けの状態」

「透明な肉汁が出てくれば完全に火が通った状態」

でも、ハンバーグの焼き加減はホントにむずかしいですよね。

そこで、ハンバーグを上手に焼くためのコツをご紹介します。

ハンバーグを上手に焼くコツ

ハンバーグを上手に焼くコツは、
・強火はNG。弱火~中火でじっくり焼く
・ハンバーグの種は厚くしすぎない
・ハンバーグの中央部分をへこませる
・【裏技】たねに氷を仕込む

強火はNG。弱火~中火でしっくり焼く

強火でハンバーグを焼くと、中心部は生焼けののまま表面だけ焦げてしまいます。

ハンバーグは、弱火〜中火で焼くことで表面の焦げすぎを防止し、中心部まで火を通すことができます。

ハンバーグのたねは厚くしすぎない

厚いハンバーグは、中心部分まで日が通りにくく、生焼けの原因になります。

薄すぎもジューシーさを損ねる原因になるので、3〜4cmくらいが理想です。

ハンバーグの中央部分をへこませる

ハンバーグを約前に、中央部分をへこませると上手に焼くことができます。

理由もわからずにやっている人が多いと思いますが、ちゃんとした理由があります。
このへこみは、ハンバーグを上手に焼くための大事なポイントなので理由をぜひこの機会に覚えてください。

ハンバーグの中央部分をへこませる理由

へこみを作ることで火の通りが均一になる

ハンバーグは焼き始めると外側から内側に徐々に収縮してきます。

この収縮をうけとめる役目をするのが「へこみ」です。

「へこみ」がないと、焼いている時に中央部分が膨らみ、ハンバーグに均一に火を通すことができません。

ハンバーに「へこみをいれる」のにはちゃんとした理由があったんです。

ハンバーグのひび割れ防止

「へこみ」をいれていないハンバーグの中心部分は、膨らみに耐えきれずに破裂したり、ひび割れの原因になります。

そして、ひび割れた箇所から旨味のもととなる肉汁がでてしまいます。

パサパサの不味いハンバーグにならないためにも、「へこみ」は膨張を計算にいれて作りましょう。

【裏技】たねに氷を仕込む

snsなどで話題の方法です。

実践して検証した小林さんの記事はとても参考になります。

氷入りハンバーグの作り方

氷入りハンバーグの作り方はとっても簡単。一般的なハンバーグのレシピに沿ってタネを作り、焼く前に氷をギュッと押し込んで焼くだけです。

材料(2人分)
合いびき肉…300g
〇パン粉…大さじ3
〇牛乳…大さじ3
〇にんにくのすりおろし…小さじ1/2
〇塩…少々
バター…10g

作り方
1.ひき肉と〇をポリ袋に入れ、袋の上から白っぽくなるまで練る。

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2. 手を濡らし、タネを半分にしてそれぞれ小判形に整える。

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3.タネの真ん中に氷を入れる。

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4.フライパンにバター入れて弱火にかけ、ハンバーグのタネを両面に焼き色が付くまで焼く。

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5.水50mlを加え、蓋をして5分蒸し焼きにする

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6.蓋を取り、竹串を刺して透明の汁が出てきたら、フライパンの水分を少し飛ばすようにして完成。

結果は……?

氷を詰めたものと、詰めずに焼いたハンバーグの比較です。左が氷なしで右が氷ありですが、見た目にあまり大きな差はありません。口コミによると肉汁がすごいとのことなので、切って確かめてみましょう。

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左から氷なし、氷入り

 

肉汁に差はある?

肉汁の出にどれぐらい差があるのか検証してみました。

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氷なし。こちらも肉汁は割と出ている

 

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氷あり。肉汁が皿の下に溢れ出ているような気がしなくもない?

 

「あれ?肉汁ドバーッしない……?」

むしろ氷を詰め込んでいないハンバーグの方が肉汁の出が良いような気がしました……。

焼き方が違ったのかなと思い改めてトライしてみたところ、やはり肉汁ドバーッとまではいかず。もしかすると氷を埋め込んだところから肉汁が流れてしまったのかもしれません。

味の違いは?

氷を詰めた分、ベチャッと水っぽくなったり味が薄くなったりするのでは……?と心配しましたが決してそんなことはなく、肉の旨味はしっかりと感じられました。むしろ柔らかさが増して、舌触りも少しなめらかに感じました。ただ、妻に試食してもらったところ「違いがわからない。どっちも美味しい。」というコメントが返ってきました。人によって感じ方は微妙に違ったようですが、そこまで大きな変化は見られない様子。

コンソメスープの氷で美味しく!

いろいろ調べていると、コンソメスープで作った氷を詰めるという方法も発見。こちらも作ってみました。肉汁ドバーッは体験できませんでしたが、狙い通りコンソメの旨味がついているのでとても美味しかったです!

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焼く前のひと手間で断然美味しくなる!

本当かな?と半信半疑での比較でしたが、今回の検証だけではその明確な効果を実感することはできませんでした……。

肉汁ドバーッとなるハンバーグを手軽に作るにはどうすればいいのか?まだまだ研究が必要のようです。もし氷入りハンバーグで肉汁たっぷりに仕上げられた方、是非情報をお待ちしています! 参照元 小林さんの記事

まとめ

この記事では、
・牛肉ハンバーグは生焼けでも大丈夫?
・牛肉にいる危険な細菌について
・細菌を死滅させる温度
・ハンバーグの焼き方
についてご紹介しました。

牛100%のハンバーグは、材料が牛肉だけだから生焼けでも大丈夫と思っている人が意外に多いです。

しかし、牛100%でもハンバーグの生焼けは危険です。

食べてはいけません。

食中毒のリスクが高いです。

理由は、「細菌が中心部に入り込んでいる可能性があるから」です。

細菌が中心部分にいるかもしれないので、焼くときには、しっかり中心まで加熱することが重要です。

ハンバーグを上手に焼くコツは、ハンバーグの中央部分に「へこみ」をいれるといいです。

「へこみ効果」で均一に火が通り、ひび割れなども防止できて、ジューシーなハンバーグが焼け上がります。

牛100%のハンバーグは生焼けでも大丈夫?

の疑問にお肉のプロがお答えしました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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