豚肉ブロック 切り方

【豚バラ角煮がやわらかくなる】低温調理3つのメリットとは?

豚角煮といえば、バラ肉を使う人がおおいですよね。

でも、出来上がったバラ角煮が思っていたより「硬かった!」という経験ありませんか?

出来上がった「豚バラ角煮」が硬い原因は「調理方法が適切でなかった」「豚バラの切り方が正しくなかった」「下処理の仕方がよくなかった」などがあります。

時間をかけてつくる「豚角煮」。

どうせなら、やわらかくて美味しい角煮食べたいですよね!

今度こそは、おいしい豚バラ角煮を作りたい!人は必見!

この記事では、
・豚バラ角煮がやわらかくなる低温調理3つのメリットとは?
・「バラ肉が柔らかくなる正しい切り方」
・「バラ肉の下処理の仕方」
をご紹介します。

記事を読み終える頃には、「おいしい豚バラ角煮」のイメージもできると思います!

では、始めます!

 

低温調理とは?

お肉は、「焼く」「煮る」などの調理法が一般的。

「焼く」「煮る」などの調理法の他に最近、「低温調理」が注目されていますよね。

低温調理って何???

っと興味をもった人に、
「低温調理」とはどんな調理法なのかをご紹介します。

低温調理は、
食材を「ジップロック」などのナイロン袋にいれて空気を抜いて密閉し、お肉の中心温度を60度~65度に保って食材を茹でる調理方法

低温で調理するため、お肉の旨味の流失を最小限に抑えることで「やわらかさ」や「旨味」が増すことができます。

低温調理専用の低温調理器を使用することで「食中毒」のリスクを最小限に抑えることができる調理法。

 

豚バラ角煮がやわらかくなる低温調理3つのメリットとは?

低温調理のメリットは、
低温の湯煎でゆっくり食材を加熱することで旨味成分の流失を抑えおいしさがアップ
・低温調理機をつかうとほったらかしで調理できる
・重量が減らない
一つずつ解説します。

低温の湯煎でゆっくり食材を加熱することで旨味成分の流失を抑えおいしさがアップ

お肉の旨味成分は、タンパク質と水分。

高温でお肉を調理すると、繊維が壊れてしまいます。繊維が壊れることで旨味成分の元となるタンパク質や水分が「肉汁」として繊維の外に流れ出てしまいます

旨味成分のタンパク質の一種「ミオシン」「アクチン」「コラーゲン」は、60度~65度を超えると変性し、繊維内に溶け出します

低温調理は、60度~65度の低温でゆっくり調理します。低温調理することで繊維を壊さず旨味成分を中に閉じ込めることができます。旨味の流失を最小限にすることでおいしさがアップするというわけです。

ちなみに、
・ミオシン・・・ミオシンは棒状のタンパク質で50度で変性し始める。変性を始めると噛 み切りにくい生肉の食感から歯切れのいい食感になります。

・コラーゲン・・・56度で変性し始め、70度以上でゼラチン化する

・アクチン・・・66度で変性し始める。アクチンは水分を多く含むタンパク質。66度を超えると収縮し水分を外に排出します。水分が少なくなることで硬くなる性質。低温調理の温度が65度以下に設定されているのはアクチンの変性温度と深い関連があったんです。

お肉が硬くなる原因は2つ

①アクチンが収縮しきって水分を放出し硬くなる
※アクチンは66度を超えると水分を外に放出して硬くなる
②コラーゲンが溶け切っていないので硬い

低温調理を60度~65度に温度を保つ理由は、2つあります。
①タンパク質の一種「ミオシン」「コラーゲン」「アクチン」の変性温度を利用する。
・ミオシン・・・ミオシンは棒状のタンパク質で50度で変性し始める。変性を始めると噛 み切りにくい生肉の食感から歯切れのいい食感になります。

・コラーゲン・・・56度で変性し始め、70度以上でゼラチン化する

・アクチン・・・66度で変性し始める。アクチンは水分を多く含むタンパク質。66度を超えると収縮し水分を外に排出します。水分が少なくなることで硬くなる性質。

もう一つは、
②食中毒の原因「菌」を死滅させる加熱処理の温度。

ローストポークにつかう豚肉には「寄生虫」がいます。寄生虫は、お肉の中心温度を60以上に保って30分以上加熱することで死滅します。

もうお解かりですよね!

低温調理が60度~65度なのは、
・タンパク質の変性温度を利用して、お肉の旨味成分の流失を最小限におさえることができる
・豚肉の寄生虫を死滅できるから
です。

食中毒リスクを最小限にする方法を詳しく知りたい人は参考にしてください。

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低温調理器をつかうとほったらかしで調理できる

巷には、低温調理はに関して色々なレシピがネット上にアップされていますよね。でも、本来の低温調理からずれている物もあるので注意が必要です。

低温調理には、専用の調理器具を使うことをお勧めします。

それが、

「低温調理器」

低温調理につかう容器に固定して、温度と時間をセットするだけ。あとは、ほったらかしで勝手に調理してくれます。お値段は少々しますが、いろいろな用途に使えるので便利です!

低温調理は重量が減らない

従来の「焼く」調理法では料理工程で旨味成分のタンパク質や水分が、お肉の外に流失していまいます。低温調理は、肉汁などの流失を最小限におさえます。その分、お肉の重量を目減りすることなく楽しむことができます。

バラ角煮がおいしくなる下処理の方法

お肉には、「脂」とお肉特有の「臭み」があります。

「脂」が多すぎると脂っこく「くどい味」になります。

また、お肉特有の「臭み」を、できる限り取り除くことで、あなた好みの味の角煮を作ることができます。

バラ肉の下処理方法

材料(2本分)

豚バラかたまり肉…500g×2本
泡盛(または酒)…1カップ
しょうがの皮…1かけ分
にんにく…1片
長ねぎの青い部分…1本分
・水

作り方

  1. 鍋に豚バラかたまり肉(できれば皮つき)、豚肉がかぶるくらいの水、泡盛(または酒)、しょうがの皮、にんにく、長ねぎの青い部分を入れて火にかける。鍋に豚肉とかぶるくらいの水を入れる。ゆで汁も料理に使うので、水はたっぷりと。

  2. 沸騰したらアクを取り、弱火にして約1時間ゆでる。そのままおいて完全にさます。

レタスクラブを参照

 

 

バラ角煮をやわらかくなる正しい切り方

バラ角煮が「硬くなる」原因の一つは切り方の間違い。

正しい切り方をご紹介する前に、

まずは、「お肉の柔らかさ」を左右するバラ肉の繊維についてお話させてください。

お肉の繊維とは?

お肉には「やわらかさ」「硬さ」を左右する繊維があります。

お肉の繊維は非常に丈夫で、加熱しても歯に挟まってしまいます。これが「硬い」と感じる原因のひとつです。

でも、切り方で柔らかくすることができます。

ポイントは、

お肉の繊維方向に対して繊維が短くなるように包丁を垂直に入れることで柔らかくなります。

バラ肉の繊維方向

豚バラ肉ブロックの繊維は矢印方向に長くのびています。

お肉をやわらかくするには、

繊維方向に対して繊維が短くなるように包丁を垂直に入れることでやわらかくなります。

これをふまえた上で、
バラ肉の正しい切り方をご紹介します。

バラ肉が柔らかくなる正しい切り方

豚バラブロックが柔らかくなる切り方は2つのうちどちらかわかりますか?



正解は下(2枚目の画像)です。

なぜ、2枚目の切り方が正しいのかを復習しましょう。

バラ肉を柔らかくする正しい切り方は、

お肉をやわらかくするには、

繊維方向に対して繊維が短くなるように包丁を垂直に入れることでやわらかくなる

でしたよね。

豚バラ肉ブロックの繊維は矢印方向に長くのびています。

お肉をやわらかくするには、

繊維方向に対して繊維が短くなるように包丁を垂直に入れることでやわらかくなる!

この矢印が短くなるように繊維を短く切ることで、
お肉がやわらかくなります。

なので、2枚目の画像

が正しい切り方になります。

基礎をわかったところで、
さっそく、バラブロックの角煮用の正しい切り方をご紹介します。

 

バラブロックの角煮用の正しい切り方

角煮は煮込み料理なので、煮込むことで、お肉自体はある程度柔らかくなります。しかし、より、やわらかくするには正しい切り方をするだけで、ワンランク上の美味しい豚角煮になります。

非常の大事なので、もう一度、確認させてください。

角煮を柔らかくする切り方はどっちでしたか?


もう、わかりますよね!?

正解は、2枚目の切り方です。

しかし、画像のような切り方では角煮には大きすぎるので、まずは、縦に3~4等分に切ります。

そして、筋目が短くなるように横に切ってください。

おすすめの「角煮の切り方」の動画をご紹介します
角煮の切り方

豚角煮といえば、お肉のジューシーさを味わう料理。なので、すこし厚めに切るのがおすすめ。

あとは、いつものように料理するだけで、やわらかくて美味しい豚角煮ができあがります。
是非、お試しください。

低温調理されたお肉は、
これ中までちゃんと火、通ってる?て思うくらい「ピンク色」しています。

半焼けを疑いをなくすためにはこちらが参考になります!

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そして、低温調理で「食中毒リスク」を最小限にするために注意することをまとめました。参考にしてください。

 

食中毒リスクを最小限にする正しい低温調理の5つの注意点とは?

低温調理で食中毒リスクを最小限にするためには、
①清潔な「まな板」「包丁」「お肉を入れるバッグ」を使うことが重要。そして、清潔な「手」で調理する。
②新鮮な食材を使い食材に菌などをつけないように注意する。
③低温調理加熱時間基準表の設定温度、時間をきっちり守る。
④正しい低温調理方法で加熱する。
⑤すぐに食べないときには、急冷する。

①清潔な「まな板」「包丁」「お肉を入れるバッグ」を使うことが重要。そして、清潔な「手」で調理する

清潔な「まな板」「包丁」「手の清潔」は低温調理に限らず料理に基本。

まな板や包丁は切る時に食材に直接触れるので、普段から清潔に保つことが大事です。

まな板も包丁も「生食用」「加熱用」「肉用」「魚用」など食材ごとに分けて使うのが理想。ですが、家庭で食材ごとに分けて使うのは面倒ですよね。包丁は使った後に洗剤などでしっかり洗い、除菌スプレーでしておくと清潔に保つことができます。

まな板を清潔に保つ方法

まな板を清潔に保つには、
・包丁と同じで、使った後は洗剤などでしっかり洗い、除菌スプレーでしておく

・使う前に水洗いし清潔な付近やペーパータオルで拭く。水で濡らすことでまな板の表面に 膜ができて、匂いやシミが付きにくくなります。木のまな板は片面だけ濡らすと反る原因になるので注意してください。

・洗う際は40度くらいの「ぬるま湯」で洗剤をつけたスポンジなどで洗う。いきなり熱めのお湯で洗うと、肉や魚などのタンパク質がかたまってしまい落ちにくくなるので注意してください。

・使い終わったまな板は、なるべく「風通しのいい場所」で保管。

②新鮮な食材を使い食材に菌などをつけないように注意する

お肉の調理でよく耳にするのが、「常温の戻してからつかう」です。

菌は、気温が8度~15度で増殖をはじめます。15度~30度でかなり増殖し、30度を超えると急増します。

常温まで放置した食材は、菌がかなり増殖し食中毒リスクが高まってしまいます。食中毒リスクを減らすには「今までの常識」を疑うことも必要です。

お肉などの食材を下処理するときは、調理用ビニール手袋を使うとより食中毒リスクを減らすことができます。

菌の多くは「人の手」を介して食材に付きます。食材を触った手で道具やお肉を入れるバッグ、低温調理器のスイッチを触るとどうなるか・・・おわかりですよね・・・菌があちこちについて食中毒リスクが爆上がりになります!

調理の際は「調理用ビニール手袋」の使用をおすすめします。

③低温調理加熱時間基準表の設定温度、時間をきっちり守る

「60度の湯煎で30分以上」加熱すると豚肉の中の菌が死滅する。ということを耳にすることがあります。

これは間違いです!

「寄生虫」や「菌」を死滅させるためには食材の「中心温度」が重要になります。

じつは、お肉の厚さが3cm位でも中心温度が推奨の設定温度まで到達するのに約100分位かかります。

そして、食中毒の「原因菌」を死滅させるには、

一覧表にまとめてみました。

寄生虫 食材の中心温度が60度以上で1分間以上の過熱が必要
O157 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
サルモネラ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要
病原性大腸菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
腸炎ビブリオ菌 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要
ノロウイルス 食材の中心温度が85度で1分間以上の過熱が必要
ボツリヌス菌 100度の過熱でも死滅しない

食中毒をひきおこすその他の細菌は、食材の中心温度が「63度で30分以上の過熱が必要といわれています。

食中毒リスクを最小限にするためには、お肉の中心温度が重要なんです。厚さ3cmのお肉でも、中心が推奨温度に到達するのに約100分。

寄生虫や細菌を死滅させるために必要な時間を含めると、プラス時間が必要になってきます。

なので、

「60度の湯煎で30分以上」を信用するのは危険です!

 

ちょっと、話がそれてしまいましたが、

 

お肉を低温調理する上で最も重要なポイントは、
・ねらいたい温度
・お肉の最も厚い部分を測る
・時間を早見表でチェック

豚肉を低温調理する際の基準は、
低温調理加熱時間基準表
を参考にしてください。

 

④正しい低温調理方法で加熱する

低温調理は正しい加熱方法で行わないと、「出来上がりにムラ」ができてしまいます。そして、食中毒リスクも高くなってしまいます。以下のようなことは危険です。注意してください。

×耐熱バッグではないものを使う
〇バッグが破損する危険があります。製品箱をよく読んで「耐冷温度の表記しかないない   バッグは適していません。使用しない!

×バッグに幾つもの食材を重ねて詰め込む
〇詰め込み過ぎると食材を均一に加熱すことができない。重ねて低温調理する場合は、そのバッグの食材の最も厚みのある部分での加熱時間が必要です。

例えば、「60度」の温度設定で重ねた食材の厚さが「8cm」で低温調理すると、安全レベルに達するまでに3時間35分かかります。同じ温度設定で食材を重ねない「2cm」の場合は、1時間25分で済みます。

食材を重ねて詰め込むことは「時間」もかかるし「食中毒」の危険も高まってしまいます。一つのバッグに食材を入れるときは、重ならないように入れてください

×食材の一部が湯煎から出ている
〇食材の一部が湯煎から出ていると出ている部分は、設定温度に加熱できません。トングや耐熱瓶などを使い食材全体が完全に沈むようにしてから調理してください。

⑤すぐに食べない場合は急冷する

調理後すぐに食べない場合は水をいれたボールなどに氷などをいれ急冷してください。この時、食材が浮いて氷水からでないようにトングなどを使い食材全体が完全に沈むようにするのが重要。

完全に冷えたらバッグの水分をふき取り、「冷蔵庫」か「冷凍庫」にいれて保存してください。保存できる目安は、
・冷蔵・・・約3日
・冷凍・・・約1ヶ月です。

【豚バラ角煮】角煮は低温調理でもっとやわらかく美味しくなる!まとめ

以前作った豚バラ角煮が「硬かった」原因はわかりましたか?

バラ角煮が「硬く」「思っていた味とちがっていた」原因は
・調理方法が適切でなかった
・下処理の方法が間違っていた
・そもそもバラ肉の切り方が正しくなかった
などです。

料理好きや評論家の間では、
料理は下処理の仕方で出来上がりが全く違ってくることが多いといいいます。

特に、バラ肉を使って作る「角煮」は「余分な脂をとる」工程は欠かせません。このひと手間がやわらかくて美味しい角煮の出来を左右します。

正しく下処理する前の、お肉を柔らかくする正しい切り方も覚えておくといいですよね。

特に「やわらかさ」「硬さ」をきめる「お肉の繊維方向の見極め」はとても大切なポイントです。

決まったスーパーで買い物をする人は「形」で繊維方向を覚える手もありますが、他の部位で応用するには「目で確かめる」ことができる様になるのがベスト。

・柔らかくなる正しい切り方をして
・下処理もしっかりでき
・正しい低温調理でできあがる

バラ角煮はきっと

あなた史上一番「やわらかく」「ジューシー」な出来になると思います!

健闘をお祈りします!

最後までお読みいただきありがとうございます。

ABOUT ME
kazu
はじめまして。私は某スーパーで精肉部門責任者歴30年のお肉のプロです。スーパーには毎日沢山のお客様が来店され色々なお肉の質問を受けます。「えッ、こんな疑問があるのか!」と気づかされることが多いです。お肉の疑問を解決して、「おいしいお肉」を食べてほしい!そんな思いから「お肉の基礎知識」などをブログで発信しています。少しでも、あなたのお役に立てたなら嬉しいです!