牛肉は、生焼けで食べても大丈夫なの?
答えは、
食べても大丈夫な部位とダメな部位があります。
この記事では、
・牛肉を生焼けで食べても大丈夫な部位とダメな部位
・大丈夫な理由とダメな理由
・牛肉の細菌の種類
・細菌の死滅温度
・牛肉料理用途別の焼き方
についてお肉のプロがご紹介します。
では、はじめます!
牛ステーキはレアでも大丈夫?
牛肉は飼育環境や牛肉本来の体質から、中心部には細菌をもっていません。
しかし、レバーやホルモンなどの消化器官には
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。
レバーやホルモンなどの消化器官をの除く部位は無菌なので、レアで食べても大丈夫です。
馬肉は牛肉より、さらに、食中毒リスクが低いお肉です。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
牛肉に寄生する細菌
牛肉のレバーやホルモンなどの消化器官には、
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。
細菌に感染すると、食中毒などの症状をひきおこします。
2つの細菌の特徴、症状などを簡単にご紹介します。
腸管出血性大腸菌O157
腸管出血性大腸菌O157は、ベロ毒素を作り出す大腸菌で、感染すると出血性の大腸炎をおこします。
症状
・健康な成人・・・無症状、下痢
・赤ちゃん・小児・・・頭痛、腹痛、下痢、出血性腸炎
・基礎疾患がある高齢者・・頭痛、腹痛、下痢、出血性腸炎
重症の場合は死亡することもあります。
潜伏期間
4〜8日。
予防のポイント
・調理前には石鹸で手を洗う
・生肉は十分加熱して中まで火を通す
カンピロバクター
カンピロバクターは、下痢をひきおこす4大原因菌ひとつ。
胃腸炎を最も多くひきおこす原因菌。
症状
・下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐気、嘔吐
・症状は3〜6日続く
重症化すると死亡することもあります。
潜伏期間
2〜5日。
予防のポイント
・調理前には石鹸で手を洗う
・生肉は十分加熱して中まで火を通す。
これらの細菌は、加熱することで死滅します。
それぞれの細菌の死滅温度は、次の表を御覧ください。
牛肉に付着する細菌の死滅温度
牛肉の、
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」の死滅温度の一覧です。
カンピロバクター | 食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱が必要 |
腸管出血性大腸菌 | 食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱が必要 |
寄生虫 | 食材の中心温度が60度以上で1分間以上の過熱が必要 |
O157 | 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要 |
サルモネラ菌 | 食材の中心温度が75度で1分間以上の過熱が必要 |
病原性大腸菌 | 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要 |
腸炎ビブリオ菌 | 食材の中心温度が75度で1分間以上の過要熱が必要 |
ノロウイルス | 食材の中心温度が85度で1分間以上の過熱が必要 |
ボツリヌス菌 | 100度の過熱でも死滅しない |
食中毒をひきおこす、その他の細菌は、「食材の中心温度が63度で30分以上の過熱が必要」といわれています。
牛肉の生焼けを防止するには、お肉の中心部の温度管理が大事です。
牛肉は、料理用途に応じて色々な焼き方があります。
簡単にご紹介します。
牛肉の焼き方
外食でステーキを注文するときに聞かれるのが、「焼き加減」。
ステーキの焼き加減も色々あります。
違いは、ステーキの中心部の温度。
簡単にご紹介します。
レア
レアは、中心部の温度が55~65℃以下。
殆ど、中心部は生の状態です。
ミディアム
ミディアムは、中心部の温度が65~70℃。
中はピンク色の状態。
ウェルダン
ウェルダンは、中心部の温度が70~80℃。
中心部分まで、しっかり火が通た状態。
その他にも、レアとミディアムの中間の焼き加減もあります。
ミディアムレア
ミディアムレアは、中心部分の温度が65℃。
中心部分は、ややレアに近い状態。
では、生焼けとはどんな状態?
生焼け
生焼けは、表面だけが焼けていて、中心部分まで火が通っていない状態。
牛肉は色々な食べ方があります。
そして、料理の仕方によって焼き加減も違ってきます。
料理用途別の焼き方
牛肉は部位によって、色々な食べ方ができるのも魅力の一つですよね。
しかし、焼き加減に気をつけないと「食中毒リスク」が高くなります。
どのように焼けば「細菌を死滅させ」「食中毒リスク」を低くできるのかを、料理用途別にご紹介します。
ステーキ・焼き加減はレア~ウェルダン
牛ステーキは、サーロインやヒレ、もも肉などの塊をステーキ用にカットします。
基本的に、レバーやホルモン以外に部位には細菌はいませんが、料理過程で細菌が付着する場合があいります。
そのため、お肉の表面を、しっかり加熱することで細菌を死滅させることができます。
細菌を死滅させることで食中毒も防止できますので、お肉表面の加熱は十分に行ってください。
焼肉・焼き加減はレア~ウェルダン
焼肉は、ステーキに比べ厚みがないので、少し焦げ目が付く程度に焼くだけで問題ありません。
しかし、次にことには注意が必要です。
生肉に触れたトングや箸で焼けた肉をさわる
焼肉などの表面には、細菌などがいる可能性があります。
焼肉を焼く場合は、「焼き専用のトングや箸」と、「食べる専用の箸」と区別して使い分けしましょう。
食べる箸をつかって、焼いたりひっくり返したりすると、使った箸に菌が付着し、食中毒になることがあります。
焼き専用のトングや箸と食べる時につかう箸は区別することが安全につながります。
ハンバーグ・焼き加減はウェルダンのみ
ハンバーグの材料は挽肉。
挽肉は、材料を専用の「ミートチョッパー」にいれてつくります。
このとき、材料になるお肉は表面も中心部も混ぜ合わされるため、表面についている細菌が中心部に侵入することになります。
このため、牛肉100%のハンバーグでも、しっかり中心部まで十分加熱する必要があります。
牛肉と豚肉を混ぜた合い挽きも同様です。
中心部までしっかり加熱することが重要です。
細菌が死滅する温度は、「牛ハンバーグ」も「合い挽き」でも、中心部分が75℃以上で1分間以上の加熱が必要です。
焼き方としては※「ウェルダン」※の焼き加減が最適です。
ハンバーグを焼く時には、しかりと中心部分まで加熱する「ウェルダン」の焼き加減で焼いてください。
※ウェルダンとは?
ウェルダンは、中心部の温度が70~80℃。
中心部分まで、しっかり火が通た状態。
レバー・ホルモン・焼き加減はウェルダンのみ
レバーやホルモンには、
・腸管出血性大腸菌O157
・カンピロバクター
などの「細菌」がいます。
腸管出血性大腸菌O157やカンピロバクターは、
食材の中心温度が75度以上で1分間以上の過熱で死滅します。
レバーやホルモンなどの消化器官の部位を食べる時には、
中心温度が75度以上で1分間以上しっかり焼いてください。
まとめ
牛肉は生焼けで大丈夫?
の答えは、
レバーやホルモンなどの消化器官を除けば、生焼けでも大丈夫です。
しかし、調理過程で細菌などが付着する可能性があるので、「ステーキ」や「焼肉」などは表面はしっかり加熱すると安心です。
「ハンバーグ」や「レバーやホルモン」などは、細菌が中心部分まで侵入している可能性があるので中心温度が75度以上で1分間以上しっかり焼いてください。
そうすることで、「食中毒リスク」を最小限にできます。
参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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